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第63回気象予報士試験 一般知識 問2

  • 執筆者の写真: 人参 走る
    人参 走る
  • 7 日前
  • 読了時間: 3分

更新日:6 日前

次に⽰す3種類の湿潤空気塊の⽐湿A、B、Cの⼤⼩関係として正しいものを、下記の ①〜⑤の中から1つ選べ。ただし、⽐湿sは、⽔蒸気圧e、気圧pを⽤いて、s = 0.622e /p で近似できるものとする。また、温度と飽和⽔蒸気圧の関係は次の表の通りとする。
A 温度12℃の乾燥空気990g と⽔蒸気10gからなる湿潤空気塊の⽐湿
B 温度14℃、相対湿度75 %、気圧700hPaの湿潤空気塊の⽐湿
C 温度20℃、露点温度16℃、気圧900hPaの湿潤空気塊の⽐湿

表:温度と飽和⽔蒸気圧の関係




比湿の定義がわかんなかったら終了です。

ただ、比の湿ですから、なんとなく湿気の量≒水蒸気量なのはわかりそうですね。


比湿=水蒸気質量[g]/湿潤空気質量[kg]


です。

細かい話でいえば、似たものとして、


混合比=水蒸気質量[g]/乾燥空気質量[kg]


がありますが、ほぼ同じなのでとりあえず今回は考えすぎなくて大丈夫です。

要は比湿は「全体の中に含まれる水蒸気量」、混合比は「乾燥空気と水でわけたときの水の量」みたいな話です。


A 温度12℃の乾燥空気990g と⽔蒸気10gからなる湿潤空気塊の⽐湿

定義さえ分かればいけます。

温度なんて関係ないですね。乾燥空気が990g、水蒸気が10gなので、全体としては1000gの空気があって、そのうち10gが水蒸気なのですから、


比湿=10[g]/1[kg]=10[g/kg]


となります。


B 温度14℃、相対湿度75 %、気圧700hPaの湿潤空気塊の⽐湿

ありがたいことに気圧と水蒸気圧がわかれば比湿がわかるように式が用意されています。

温度14℃の時の飽和水蒸気圧は表から16hPaということがわかっています。

この時の湿度は75%ですから、この空気に含まれる水蒸気は


16hPa(飽和時の水蒸気圧)×0.75%(相対湿度)=12hPa


となります。

ここで、比湿 = 0.622×水蒸気圧÷気圧 らしいので、


比湿=0.622×12hPa÷700hPa

  =0.01066286…


です。

さて、ここで比湿を求めるための式について、単位が書いていないのでこれが何なのかがよくわかりません。ただ、Aですでにg/kgだとしたら10という値が出ていますので、どちらも極端に湿ったり乾燥していないことを考えると、この値に1000をかけるとg/kgになりそうです(というフィーリングも必要です)。


因みに、物理計算の世界では重さはkgで行われます。

今回与えられた式の比湿は[kg/kg]であるから、1000をかけると[g/kg]になるわけです。


よって、Bの空気塊の比湿は


10.66286…[g/kg]


と思われます。


C 温度20℃、露点温度16℃、気圧900hPaの湿潤空気塊の⽐湿

水蒸気量が欲しい今、露点温度があるなら温度はいりません。

露点温度が16℃であるということは、この空気塊の水蒸気圧は、表より18hPaです。あとは気圧が900hPaとのことなので、さっきと同様に


比湿=0.622×18hPa÷900hPa

  =0.01244


となり、同様にしてCの空気塊の比湿は


12.44[g/kg]


となります。


なお、BとCを比べるだけならば、水蒸気圧/気圧 を比べるだけで可能ですね。

今回はAで比湿の値がしっかりと出てしまったので計算する必要がありました。


よって、比湿は

A<B<C

となり、答えは①となります。

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