第63回気象予報士試験 専門知識 問9
- 人参 走る
- 6月4日
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⽇本付近の梅⾬期の気象について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 梅⾬前線を維持している⽔蒸気の輸送には、太平洋⾼気圧の縁に沿う南よりの気流とチベット⾼原の南縁を通る⻄よりの気流が寄与している。
(b) 天気図の解析では、梅⾬前線は、⽔平⽅向の温度傾度が⼩さい領域であっても⽔蒸気量の傾度が⼤きい場合には、概ね等相当温位線の集中帯の南縁に沿って解析される。
(c) 梅⾬前線近傍における集中豪⾬の発⽣時には、⼤気下層に下層ジェットと呼ばれる湿った強⾵が観測されることがある。
(d) 梅⾬前線上に数百km程度の⽔平スケールを持った地上低気圧が複数発⽣することがある。これらの低気圧は500hPa⾼度⾯でも明瞭な低気圧を伴うことが多い。
(a) 梅⾬前線を維持している⽔蒸気の輸送には、太平洋⾼気圧の縁に沿う南よりの気流とチベット⾼原の南縁を通る⻄よりの気流が寄与している。
解答:正
難易度:★★☆☆☆

問題文の通りです。
水蒸気が二カ所から集まってくるのでろくなことになりません。
(b) 天気図の解析では、梅⾬前線は、⽔平⽅向の温度傾度が⼩さい領域であっても⽔蒸気量の傾度が⼤きい場合には、概ね等相当温位線の集中帯の南縁に沿って解析される。
解答:正
難易度:★★☆☆☆
梅雨前線は水蒸気前線とも呼ばれます。
一般的な前線は温度傾度の大きなところに形成されがちなのに対し、梅雨前線は水蒸気量が大きく異なる場所に形成されます。温度だけでなく、水蒸気量まで考えられた相当温位という指標でみていくのが一般的です。

こんな感じで、等相当温位線集中帯の南縁に解析されます。
実技で使える知識です。
(c) 梅⾬前線近傍における集中豪⾬の発⽣時には、⼤気下層に下層ジェットと呼ばれる湿った強⾵が観測されることがある。
解答:正
難易度:★★☆☆☆
『梅雨前線の主な特徴は、水平の温度傾度は小さいが水蒸気傾度は大きいこと、下層ジェット及び暖湿気の流入(湿舌)が強いことなどが挙げられる。』(気象庁)
下層なので水蒸気が多い層ですが、ここの風速が強いということは運ばれる水蒸気量も多いということになります。
ゆえに大雨になりやすくなります。
(d) 梅⾬前線上に数百km程度の⽔平スケールを持った地上低気圧が複数発⽣することがある。これらの低気圧は500hPa⾼度⾯でも明瞭な低気圧を伴うことが多い。
解答:誤
難易度:★★☆☆☆

上層にあるトラフによって上昇流が励起されて地上に低気圧が現れるパターンであれば500hPaでも明瞭な低気圧が出てくるかもしれませんが、そうであれば低気圧は発達するはずです。
しかし、梅雨前線上に現れる低気圧は低気圧としてはそこまで発達しません。
地上付近で明瞭な子です。
スケールは数百キロ程度で前半は問題文の通りとなります。
停滞前線が北にバキッと曲がっているところをキンクと言いますが、そこには空気が集まりやすくなります。
そういうところに低気圧ができます。
ということで解答は正正正誤で①です。









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