第63回気象予報士試験 一般知識 問5
- 人参 走る
- 5月24日
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更新日:7月16日
地球の長波放射について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいもの を、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a) 地球大気中で長波放射は主に二酸化炭素分子と酸素分子によって吸収される。
(b) 地球は全体としてほぼ放射平衡の状態にあり、地球の大気上端から外向きに射出される長波放射量は、地球の大気上端に入射する太陽放射量にほぼ等しい。
(c) 海洋上の背の高い積乱雲の雲頂から放射される単位面積当たりの長波放射量は、その周囲の海面から放射される単位面積当たりの長波放射量よりも大きい。

地球から出ていく方の放射、長波放射(地球放射)に関する問題です。
基本的な部分なので確実に点を取りたい問題となります。
(a) 地球大気中で長波放射は主に二酸化炭素分子と酸素分子によって吸収される。
解答:誤
難易度:★☆☆☆☆
地球から出ていく放射を吸収してしまう空気を「温室効果ガス」と言います。
そもそも温室効果とは「大気が地球表面から放出された熱(赤外線)の一部を吸収することにより熱が逃げにくくなること。または、その結果により地球表面の温度が上昇すること。」です。(気象庁HP)
二酸化炭素は言わずもがな温室効果ガスですが、酸素はどうでしょう。
酸素が温室効果ガスだった場合、たぶん地球はめっちゃ暑くなっています。
長波放射を吸収するのは主に「二酸化炭素」「メタン」「一酸化二窒素」「フロン類」などです。
(b) 地球は全体としてほぼ放射平衡の状態にあり、地球の大気上端から外向きに射出される長波放射量は、地球の大気上端に入射する太陽放射量にほぼ等しい。
解答:誤
難易度:★★☆☆☆
「地球全体としてほぼ放射平衡の状態」は正しいです。そうでないとどんどん寒くなるか暑くなるかします。
「地球の大気上端から外向きに放射される長波放射量は、地球の大気上端に入射する太陽放射量にほぼ等しい」
これに関しては、地表面や雲で反射している分があるので成り立ちません。
おおよそですが、大気上端に入ってくる太陽放射が100だとすると、地球のアルベドが0.3なので反射で30、大気上端からの赤外放射が70となります。
(c) 海洋上の背の高い積乱雲の雲頂から放射される単位面積当たりの長波放射量は、その周囲の海面から放射される単位面積当たりの長波放射量よりも大きい。
解答:誤
難易度:★☆☆☆☆
放射の強さというのは、温度が高いものほど強くなります。
なんなら4乗に比例するので温度が高いものほど低いものよりもだいぶ強い放射を出します(ステファンボルツマンの法則)。
なので、要は
「積乱雲の雲頂と海面のどちらが温度が高いか」
を問われています。
一般的に、上空へ行けば行くほど気温は上昇しますので、どう考えても海面の方が温かくなりますね。
よって海面からの長波放射量の方が大きいです。
ご回答は誤誤誤で⑤です。









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